傷病手当金の支給申請をしたところ、「労務不能とは認められないため」あるいは「法定支給期間を超えた請求のため」などの理由により、傷病手当金が不支給になる場合があります。 診療実日数が少なかったり、投薬がなかったりした場合に、「療養のための労務不能とは認められないため」として傷病手当金が不支給になる場合があります。 保険者(健康保険協会・健康保険組合等)は、その傷病の病状・症状により労務可否を判断するのは当然ですが、被保険者が主治医の治療方針に従い受診し、治療、服薬、休養などの指導を順守していなければ、「療養のための労務不能とは認めない」と認定します。傷病手当金の支給決定(審査)において、主治医の意見、主治医の指導内容が、多大な影響を及ぼしますので、主治医と患者の関係は治療面でも傷病手当金においても、信頼関係を構築することが重要です。 主治医から労務可否に関する医学的所見「意見書」を先行して取得したり、主治医以外の産業医の意見書や、勤務実態に関する第三者(事業主や管理者または保健スタッフなど)の陳述書等も参考になる場合がありますので、それぞれの事例で要件を確認することが重要となります。 また、以前、同一傷病で傷病手当金をもらったことがある場合、「法定支給期間(1年6月)を超えた請求であるため」との理由で不支給が予想される場合には、社会的治癒に該当するかどうかを事前に確認する必要があります。「勤務状況」及び「症状経過、治療内容(投薬:予防的投薬に該当するか否か)」などを勤務勤怠表や診療報酬明細書および調剤明細書などから確認することが重要です。 結論として、前もって策を講じることが、不支給が予想される場合の請求手続においては、最も大切なこととなります。一旦、請求が不支給決定された場合、審査請求をすることになりますが、容認を得ることは、非常に困難なのが現状です。 したがって、請求する段階で、前もって策を講じることも、必要です。
※ 当社労士が代理・代行した、傷病手当金の不支給処分に対する(再)審査請求事件のなかで、労務可否、法定支給期間(社会的治癒、同一疾病または因果関係のある傷病)、給付制限などの争点(問題点)について、社会保険審査官・社会保険審査会において「容認された最近の決定・裁決例」は、次のとおりです。
傷病手当金-社会保険審査官決定・社会保険審査会裁決例◆ 最近の主な決定・裁決例はこちらから◇社会保険審査官決定・社会保険審査会裁決例◇